2019.03.09
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視察研修
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先日、倉敷国家石油ガス備蓄基地の視察研修に参加させていただきました。
LPガスが海外からオーシャンタンカーで運ばれてきて、各種受入設備を通り、LPガス岩盤貯槽への備蓄、または、出荷桟橋にて隣接基地へ輸送、そして陸上でタンクローリーにて出荷されるまで、この基地内で行われる概要を視察・研修しました。
特に、地下にLPガスを貯蔵する方式である「水封式地下岩盤貯蔵方式」を詳しく図解説明していただきました。この方式は、貯槽周辺の地下水圧により常温高圧の液化したLPガスを貯蔵するもので、LPガスの内圧よりも高い地下水圧となる深さの岩盤に貯槽を設け、さらに、水封トンネルと水封ボーリングから岩盤へ人工的に給水を行い、より安定した地下水圧と貯槽に向かう地下水の流れを確保して、LPガスを確実に封じ込める方式です。
この貯蔵方式の利点としては、
・地下水によって岩盤に封じ込められ大気と遮断されるため、火災・爆発の恐れがないこと。
・岩盤内は地表に比べて地震動が弱くなるうえ、貯槽自体が周りの岩盤と一体となって振動するので、地震の影響はあまり受けないこと。
・地上設備が少ないので、周辺環境に与える影響がすくないこと。
などが挙げられます。
またLPガスは、ガソリンのように腐食、蒸発がないため、この「水封式地下岩盤貯蔵方式」で貯蔵することにより、この先、50年、100年経っても緊急時に大容量活用することができます。なお、国家石油ガス備蓄基地は、大災害などが起きた時に速やかにこのLPガスを活用できるように、この倉敷を含め日本の5地点に配置されています。
LPガスは、家庭用、タクシーなどの自動車用、中小企業用等に幅広く使用されていて、特に家庭用としては台所や暖房用の熱源として、日本の約半数近くであるおよそ2400万世帯で使用され、私たちの生活に欠かせない大切なエネルギーとなっています。しかし、LPガスの約8割は海外からの輸入に依存しているため、仮に海外産ガス国からの供給が途絶したり大幅に減少した場合、あるいは災害の発生により国内の特定の地域への供給が不足した場合には、私たちの生活に重大な影響を及ぼすことが予想されます。この課題に対応するため、LPガスの安定供給の確保を目的に、既存の民間備蓄に加え輸入量の50日分に相当する140万トンの国家備蓄体制が整っています。